東西のクニオ対談集。両者の将棋観、人生観の違いがよくわかる。それぞれの幼少時代の話や先輩棋士とのいざこざ、女性観なども、両者の人となりを知る年季の入った将棋マニアにはノスタルジーを感じるだろうが、この際それはおいといて。
二人が考える今後の将棋界の違いが興味深いのね。米長は将棋を礼儀作法を修身させる教育ツールとして学校の教科にしようと活動をしておりますね。子供の頃から慣れ親しむことで将来のファンをつくりだそうという姿勢です。容易ではないでしょうし、この路線を推し進めるとしても米長だけでは完成することは難しいので、後継者を出さないといけないと思うんだけれど、そんな奴いるかねえ。このままでは跡継ぎがいなくてポッキリいきそうな見通しですけれど、どうなんでしょ。孤軍奮闘が痛々しくもあります。それでも将来の将棋界が繁栄するようにいろいろ発言し行動もしていることは逆にいうと、何もしないとこのまま規模縮小することは見えている、ともいえるわけですが。
内藤はすでに将棋界の将来はない、と思っているようです。身も蓋もないですな(笑)。自分のつくった詰め将棋を理解してくれないから、ということも少しはあるでしょうが、娯楽が増えた結果、将棋を楽しむ層が流出して、もうもどってこないんじゃねえの的発言が多かったです。そんでもってなるようになるっていうか、そのまま放置ってニュアンス。少なくとも自分からいろいろ行動しようとは思わんってことみたい。
もう還暦すぎたお爺ちゃんだからってこともあるし、今までの活躍で十分棋界の宣伝をしてきたともいえるから、いまさら働けとはいいませんけれど、流石に泣けてくるな。そこまで悲観しているのか、と。というかもうあんまり興味ないんだろうなとも思う。普及なんかはもっと若い奴等がやらないといけないしな。
このような対談本ってさ、両者ともに将棋界以外にも顔が売れているから広いマーケットで捌けるんだと思うのね。だから企画されたと思うんだよ。でね、将来、この両名のようにさ、将棋界以外でも一目置かれるような人材がでるだろうかと思うのよね。対談本企画して貰えるだろうかっていうね。将棋界を知ってもらう努力とともに、他の世界へと積極的に売り込む必要性も、将来を考えるとあると思うねえ。
現在対談本が企画されそうな人って、谷川棋王と羽生二冠ぐらいでしょ。両者ともサービス精神旺盛ってわけでもないから、うーん、正直一般の人が興味を持つわけない。
年を経るごとに痩せ細っていく将棋界。ああ。