普及の足がかりとしての漫画


 NIKKEI NET 将棋王国から。


 昨年(2003年)の12月6日に「第1回小学館学年誌杯争奪全国小学生将棋大会」(名前なげーよ)が行われまして。予定定員数を超える応募があって盛況だったらしいですね。

 なんでも、雑誌「小学五年生」に連載されている将棋漫画「マサルの一手!」をきっかけに編集者と若手棋士との交流ができ、そこから話がまとまって実現できたそうです。嗚呼、喜ばしい哉! 何が嬉しいって、若手もちゃんと将棋界の未来について憂慮し、対応策を考え、そしてここからが重要なんですが、実現までこぎ着けた、という点です。ようやく殿様商売感覚から脱却して企業の持つ営業能力が身に付いた人材が出てきたんだなあと。実際のところ、ぶつくさと将棋界の不甲斐なさに不平をもらす棋士(古いところでは河口俊彦、新しいところでは先崎学)は数人いたものの本気で変えようとして行動した人間は芹澤博文だけだったわけでね。今では米長邦雄が本腰を入れて来たぐらいで。だからって、これ誉めてないですよ。当たり前のことができるようになった、といってるんです。今までが酷過ぎたわけですから。

 今は漫画の連載が続いているので、当分注目して貰えるとは思うよ。でもいつかは終了してしまうだろうし。だからその前によくよく考えておかねばならないのは、一過性のブームにしないための仕組み作りなんですよ。将棋を学ぼうにも世の中にはその手段がかなり限定されているという現実があってね。側に将棋を指せる人がいない、近い棋力の人がいない(ライバルがいない)、将棋道場が近くにない、ネット将棋にアクセルする環境がない、学ぶテキストが少ない、大会の情報が少ない、などなど。これじゃあ遅かれ早かれ離れていくよ。

 顧客である小学生やその両親に興味を抱かせつづけるのは容易ではない。ただ大会を毎年やれば人がついて来るというわけではないからね。「来年はこの大会、社の主催事業に格上げして開催する」と小学館の平山隆執行役員とコメントしているが、規模拡大に見合うような魅力ある将棋関連サービスを小学館、将棋連盟双方で提供できるかが来年の第二回大会の成否を大きく分けることになるんじゃないかと。

 だから欲をいうと、上記のことまで踏み込んでというか、想定して企画して欲しかったと思うんですよ。まだ姿がないだけで、水面下で実行しているのかもしれませんけれども。

 ※不精な私は「小学五年生」も「マサルの一手!」も未読。読んだから感想が変わるかも。
 ※マサルの最強将棋道場のHPはまだ大会募集の内容になったままなんですが…。えーっと、結果はもう出ていると思うんですが…。細かい気配りがまるで出来ていない。ふぅ。


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初版公開:2004年1月17日 最終更新:2004年1月17日
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