四段はプロじゃない


 少し前ですが、四段が三段や女流棋士にコロコロ負けるという記事が出たことがありました。新進気鋭が何故格下に負けるんだよ、という疑問が呈されているわけですが、こんなのもう普通ですよね。常識の範疇なんですからどうしてわざわざ指摘するのかがわからないですねえ。だって、四段に上がったばかりの棋士は年齢制限のプレシャーから解放されたばかりなんですもの。腑抜けになるのは当然です。ですから真剣勝負に明け暮れる三段連中にバッサリいかれるわけで。

 女流だってあなた、トップの中井、清水は男性棋士の平均より少し劣るぐらいの棋力ですから(私の推定ですけれど)そう簡単に退けられるものではないんだよね。中井女流三冠はA級の青野照一九段をNHK杯戦という早指しとはいえ撃破した力量を持っていますし。

 ところで、四段になると生活ががらりと変わるもんなんですよね。給料ももらえて生活費の心配をしなくて済むし、周りの態度も一変、先生と呼ばれる存在へとかわるし。対局も一日掛かりになって持ち時間も大幅にアップするし。てなこともプラスされて実力を発揮することができないもんなんです。ですから並の四段ならプロの水に慣れるのに一、二年はかかるみたいです。だからこの様なわけ。

 とはいうものの、だからってプロ(四段)がセミプロ(三段)に負けるのはどうかと思いますね、実際。気が抜けるというのはどうなんでしょう、いわゆる強い志というものがないからなんじゃねえか、という気がしなくもないんですよ。内に秘めた闘志っていうのかなあ。地道にコツコツと昇段すればいいや、みたいなうーん、なんていうか役人根性っていうか、無難で着実な人生設計っていうかさ。「とりあえず四段が目標」みたいな意識でやっていたんじゃなかろうか。いや、まあ、実際とりあえず四段は目標だけれどさ。こんなん通過点やと思って、例えばタイトルに射程をあわせて自分を常に鼓舞していく持続力というのかな。そんな気持ちがあれば、三段に負けるなんていうのはちょっとありえないんじゃないかと。気が抜けることなんてないんじゃないかと。粒がどんどん小さくなってきている印象がここ数年の四段にはあるなあ。


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初版公開:2004年1月10日 最終更新:2004年1月17日
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