指し手を無駄にしない


 将棋で勝利をものにするためには、与えられた駒20枚を効率よく使うことです。効率よく使うには、指し手を無駄にしないことです。指し手を無駄にしないとはどういうことかというと、指し手に一貫性を持たせることです。その姿勢が常に必要。

 指し手には3手1組、5手1組というセットになっているものがありますね。継ぎ歩や、端攻めといったものが代表格でしょうか。そういう攻撃は受け手にとって手抜きしづらいものですが、相手が別の争点に価値を見いだして手抜きされたとします。このとき、別の争点の方があなたにとっても価値が高い場合、そちらへと手を回さないといけない。結果先ほどの3手1組の残りが実現されないということになる。このままじゃいかんのです。近い将来3手1組の残りを指さないといけません。何故かというと、3手1組に使った1手が無駄になってしまうからです。

 その前に、3手1組の手自体の妥当性を問う姿勢も必要ですね。相手が変化してきたということは、3手1組自体の優秀故に紛れを求めてきたのか、3手1組より効果のある指し手があると思って変化したのか。前者の場合は問題ありませんが、後者の場合再考が必要です。3手1組よりよい手があったのかも知れません。

 ま、指した以上、無駄なく指しように心がけましょう。だいたい、手を決めるということは、その局面の可能性を限定するということだから、無数の変化を犠牲にしていることと同意です。犠牲にした手よりもよい手を指したと考えないとやりきれませんよねえ。だから、相手の指し手が読み筋にない場合を除き、自分の考え、あるいは閃いた手順を貫かなければならない、というかそうしたほうが効率的。

 間に合うと思って突いた飛車先の歩。あと2手かけないと機能しないとしよう。玉頭が忙しくて無駄になるかも知れない。それでも、意味があると思って突いた歩なんだから、成果がでるまであと2手をどこかで都合つけて実現しよう。そうしないと、間に合う、と思った大局観が悪いということになるから。で、これが原因で負けてもいいんだ。大局観が悪かったことが分かれば次回それを修正すればいい。半端な思惑でチグハグに指すのが一番駄目。位取りの将棋なら、位を生かして指し手を構成する。位取りに反する指し手は極力排す。つまり指し手には一貫性がないとならない。そしてこの一貫性は、一局単位、局面単位といろいろある。

 我が道を行く、というかね。自分の読み筋を信じて指すんです。お互いの最善手を考えつくし、結果自分の方に分がある、と思い込まないと決戦なんてできないっしょ。安易に相手の手に読み筋以外の手で対応するのは、「読み負けました」と宣言したも同然。読みにない手(よい手の場合ね)を指された時も同じです。こういう展開はなるべく避けたい。

 もっとも私たちは、有限の中で判断を下さなくてはならない存在故、実際は読み勝ったり、読み負けたり、読みが合わなかったりしながら、局面は進んでいきます。序盤は手が広いから読み筋がどうだこうだとはいえないでしょうが、中盤の仕掛ける周辺から指し手を無駄にしないという姿勢は重要です。将棋というのは最後の最後に帳尻が合うモノですからね。


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初版公開:2003年7月26日 最終更新:2003年8月2日
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