黒船来航──朝日オープン将棋選手権

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 知らない人がいるかもしれないので、まずは以下をご覧下さいな。そして嘆いてくださいな。

 → アマが7勝2敗 歴史的大勝利asahi.com : 将棋

 とうとう馬脚を現してしまったプロ棋士達。一年前に、黒船になるか?という戯言を書いたが、まさにプロ棋士の存在意義を揺るがす出来事が起きてしまった。朝日トーナメントアマプロ10番勝負、プロは2勝7敗という無様な成績を残したんですなこれが。将棋関連のサイトでの反響も様々なようで、「(アマが勝つのは)当然の結果」「プロはだらしない」「最下層の棋士が負けただけ」「トッププロとの差は変わらないのでは」挙句に、「プロがかわいそう」などという最大級の侮蔑発言をしている人もいるようです。

 さて。ここでプロ棋士の条件を考えてみましょう。日本将棋連盟という将棋界内部からの視点で見ると、奨励会三段リーグを勝ち抜いた人がプロ棋士であります。この方々はその時点で社会的経済的地位を取得します。週に1度の対局でそこそこの生活が出来るようになるのです。つまり、そういう一般人とは異なり、楽勝な人生を歩めるわけですね。つーことはそれなりの代価は支払わなくてはなりません。与えられた対局に全力をぶつける。それが最低限の義務というものです。

 アマチュアは一般に将棋を中心に生活をしていません。勝負における執念はプロ棋士に劣るでしょう。なぜなら人生が掛かっていないからです。強豪アマチュアは確かにかなりの時間を将棋に割いて勉強したりしているかもしれませんが、彼らには生活があるのでプロ棋士のような勉強、修行はできない、つまりは経験値、気迫、執念、そして棋力においてプロ棋士が負ける訳はないはずなのです。理屈はね。

 どうして負けるのか。負けた棋士は石に噛り付いても勝つ、という将棋指しの心意気を失っているのです。棋力じゃない。年齢じゃない。根幹の部分において腐ってしまっているんだと思います。次勝てばいいや、という甘い気持ちがあるのではないか。

 森けい二九段の「敗者にはなにもやるな」というセリフは真実だったのです。実際生活があるので極端なことはできないと思います、しかしそれぐらいの気持ちがなくてどうするのか。奨励会にいた時はみんな、毎日の対局が命懸けだったはずでしょ? その思いはどこへいったのでしょう。

 気持ちだけで勝てるんだったら誰でも勝てる、という人がいるかもしれない。しかし将棋というのは技術もさることながらメンタルなゲームでもある。名人位を失った丸山九段も、1,2局目の敗戦ですっかり意気消沈してしまい3局目をありえないポカで失い4局目上手く指しながららしくない攻めで負けたのである。気持ちは大事な要素であろう。

 またこの時期は対局が少ないシーズンなので、調子を落としていたということもあるかもしれない。いうまでもないがそんなことは言い訳にならない。一発勝負だから、というもの同様(以前にも書いたけど)。

 この「歴史的大敗」は主催紙にはデカデカと載っているんだけど、日本将棋連盟HPには、対局結果のみでなーんにもコメントがない。二上会長よ、負けた棋士の対局料は強制的に没収するとかして、プロ棋士の意地を回復させるのが急務ですよ。米長永世棋聖も掲示板で「事件です」というのなら、弁明なり解析なりして見せてください。そうそう中原永世十段も「こんなに早く負け越す日が来るとは思ってもみなかった。びっくりしている」って言っている場合じゃないってば。


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初版公開:2002年6月8日 最終更新日:2002年6月15日
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