この間の不幸な人災事故を表現するさいに、マスコミ各社は「将棋倒し」という言葉を使いました。日本将棋連盟はその表現に対して、
「『将棋倒し』は本来、子供向けの駒を使った遊びで、単に倒れる状況だけを見た表現として事故などに引用される遊びではなく、将棋の文化的普及と振興を進めている当連盟としては大変遺憾に思っていた。こういった場面での使用は絶対にやめていただきたい」
と書き記した要望書を送っているとか。えーっと。ツッコミどころ満載な内容なのでチェックしてみましょう(笑)。
1. 遺憾に思っていた
思っていたのは一体いつの頃からなんでしょうか(笑)。将棋倒しって表現なら、将棋が普及した江戸時代からありそうなものですよね。するってえと、ざっと300年前から、「将棋倒しって表現、まずいよなあ」「ああ、そうだな」「断固、変えるべきだ」なんていっていたんだろうか。んなわけないよな。じゃあいつから思ってたわけ?
2. 事故などに引用される遊びではなく
えーっと、意味がわからない(笑)。「事故などに引用される遊び」っていう表現がかなり気持ち悪いけど。大体「引用される遊びではなく」と言い切るところが傲慢というか、身勝手といいますが、そんなのは表現者の自由じゃないかね。引用される/されないというその基準はいったいなんなんだ。駒をパタパタ倒して楽しむ遊びと人がパタパタ倒れる様子がうまくリンクしているからこそ生まれた表現なのだから使わない方が変でしょう。
3. 将棋の文化的普及と振興を進めている当連盟
……普及と振興進めてます? ホントに? 将棋倶楽部24の方が貢献してんじゃないの? ネット将棋によって普段将棋に触れることが少なくなった人が戻ってきたり、新規参加者が増えたりして、その方々は将棋の本を買ったり他の人に将棋を薦めたりしてる。その結果、将棋界へ利益がフィードバックされているんでしょ。違いますか。だからさあ、久米さんを普及名人にして厚く保護しろよ(嫌がるでしょうけどね)。それに引き換え、連盟の普及活動って一体……。
4. こういった場面での使用は絶対にやめていただきたい
絶対ってなあ。なーんでこんなにえらそうな態度なんだ? その根拠がよくわかんない。
どうも、「思っていた」という言い訳がましい表現になっているのは、ある方がたへ弁明なのでしょう。連盟に投書が来たのでしょうな。「将棋倒し」って言葉で事故を表現すると、将棋に悪いイメージが付くとかなんとかね。で、連盟はなーんにも考えず「おっしゃるとおり」と答えて早速行動にうつったわけ。実は日本将棋連盟としても、昔からそう思っていたんですよね、えー、なにも対策を怠っていたわけじゃないんです、その証拠にほら、今回行動したでしょ。といった具合に。
でもね、よーく考えて下さいよ。将棋倒しって言葉には確かにマイナスイメージがあるかもしれないけど(事故の意味も持つから)、だからって将棋のイメージダウンに寄与していないでしょ。将棋倒しと聞いて、「だから将棋は悪いんだよ」なーんていう奴がいるのか。いないよな。将棋のマイナスイメージは他に原因があるんじゃないかね。まったく、日本将棋連盟は、間の抜けた声明を発表せずにどうでもいい投書なんて無視しとけば良かったのに。