投了の心構え

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 一般に、投了するタイミングはどの時点で行うべきか、という問題があると思う。きちんと詰まされてから投了するのか、明らかに自陣に詰みがあり、逃れることができないと判断したときか、中盤金気をボロッととられてしまって形勢がいかんともしがたいと考えたときか。

 勝負は水物なので、終盤どんな波乱が待ち受けているかは神のみぞ知る。とはいうものの、対戦相手が自分より棋力が上だとどうだろう。詰まされるまで指しつづけるのは、礼儀上反するのだろうか。僕なんかは、相手を信用することにしていて、さっさと投了します。んで、どこがまずかったか指導を受けちゃいます。もちろんこれは、棋力が相当離れている場合よ。少しぐらい上か、あるいは同棋力だったら歯を食いしばって詰まされる一歩手前で投了することにしています。これは相手にどうこうというより、自分への戒めとしてです。負けた罰として惨めに散れ、という気分なんです。そして次回への活力にする(笑)。ただし、最後まで(詰みまで)相手に付き合わせるのは悪いなあ、ということで一歩手前で投了する。……ごちゃごちゃいっていますがある種の美学ですよね、これだと。

 ルール上、投了はどんなタイミングで行っても問題ないので、始まった早々「負けました」なんていうのも理屈の上ではありです。こうなると落語かなんかでありそうな話ですな。ところで最近、ネット将棋での話なんですが、反則手を指して負ける人がぼつぼついるそうなんですよ。詰みとわかっていて別の手を指すとか、わざと駒の利きに王様動かして負けるなどです。これなんかは許せないなあ。将棋を指すからには勝負に勝つことを目的にしているわけで、それを自ら拒否して負けるのは将棋道に反すると、僕は思います。相手がいるゲームですし、大前提を否定するような指し手とは対局したくありませんねえ。というわけで、当たり前の結論ですが、相手を嫌な気持ちにさせないようなタイミングで投了しましょうね。


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初版公開:2001年07月28日 最終更新日:2001年08月07日
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