24BBネットの印象と今後


 ネット対局場としてダントツの人気と対局者レベルの高さを誇る将棋倶楽部24を運営する久米氏の、新しい試みが24BBネットというWebサービスであります。サービス内容は、オンライン双方向の特性を生かした、将棋中継、講座のストリーム配信で、サービスを受けるにはストリームを受けるPC環境(FLASHプレーヤー)と、配信コンテンツに対する支払いのためにeBANKの口座が必須となります(無料コンテンツを見る場合は不用)。

 11月3日はオープン記念と言う事で、無料で番組(アマチュア強豪瀬川対早咲解説佐藤六段)を見ることが出来るとの事ですから見てみることにしました。専用のIDを登録して、早速接続開始。開始5分前まで左下ウインドは真っ暗でしたが、開始時刻となるとモザイク調の佐藤六段の顔が映し出されました。時間になっても開始されず、佐藤六段も困っていましたね。で、たどたどしい口調で始まったわけなんですが、最初音声が聞き取りにくく、雑音がたくさん入っていました。途中マイクを口元に近づけて聞き取りやすくなったのですが、反面、鼻息や吐息までが流れてきてブルーになったり。満員電車に乗っている気分で嫌。こういった細かいノウハウは、解説者になる方も、システム運用側もしっかり積んでいかないといけませんね。つーか、事前に何度か練習しておけば避けられたと思うのですが。

 序盤の手の広い部分では何を喋ってよいか、難しいところです。普通は対局者の棋歴や棋風、対戦成績、人柄といった内容などがネタになるのでしょうが、佐藤六段は知らないのかあっさりした紹介で終わっていました。これは番組作成側がきちんと用意しておく必要があったでしょう。対局者個人の紹介文は一度作ってしまえばほとんど使いまわしが利きますしね。対局前にトークネタ向けのアンケートを取っておくという手をあったでしょう。これも、番組構成考えていればたどり着くものだと思いますけれど。テレビ将棋と同じなのですから。

 変化手順を、テレビ番組のサッカーの解説のようにペンツールを用いて指し示したりしていましたが、わかりにくかったです。本編とは別にウインドウを開いて別に駒を動かしてくれたほうがよさげかな。少しうざいか。対局者名が出ていないのは大きな手落ちです。早速修正されるとは思いますけれど。お互いの考慮時間の表示がない、秒読みの表示、音声がないというのも臨場感に欠けます。これも直るでしょう。あと、一人喋りというのは間が持たないし、ネタも尽きますから、聞き手がいた方がいいと思いました。女流は暇を持て余しているでしょうからよい機会だと思いますよ。リアルタイムで観戦者から感想が聞けますから、解説力、聞き手力アップの向上にピッタリではないかと。右上隅に入場者数が表示されていましたが(と私は判断しましたが、システムの仕組みがわからないので実は違うのかもしれません)、テスト運用とはいえ締め切り人数である400人を超え、1000人以上参加していました。そのせいなのか、チャットでは「重いー」と不平をいっている人も見受けられました。まあテストですからその当たりはしょうがないかと思うんですが、そういったマイナス面をあからさまに公開するのはあまり良い印象を受けませんねえ。人数制限をキチンとしたほうがよかったような。利用者は、「金を払う」指針を探しているわけですからね。私の環境はADSL8M(実質下り3〜4M)だったせいか、あまり重いとは感じませんでしたが、音声が等間隔でプツプツ切れるのが耳障りだったかな。

 あと、画像が荒い。顔だけを移すのなら音声だけで十分ではないかと。というか軽くするためにも当面画像なしで始めてしまってもよいのではないかと思えます。次の一手を選ぶ簡易投票の仕組みもわかりづらいし。突然投票が行われてもなあ。せめて、始める前にメッセージが出るとか、締め切りまでの時間が表示されたりとか欲しい。チャットについては24みたいに指定した人物の発言をマスクできる機能が欲しい。マスクの来歴が残れば便利だと思う。感想戦では、対局者も音声がでるように出来れば面白いかな。もっとも対局者の環境によりますけれども。

 というわけで現時点での僕が評価すると、及第点には遠く及びません。これだったら将棋倶楽部24で、有段者の将棋を観戦しつつ、解説者達のチャットを眺めていたほうがよほど楽しいですからね。ただ将来性は買います。この配信システムを使ったタイトル戦中継を、すべてのタイトル及び順位戦に組み込むことができるのなら、という条件付きですけれど。

 そもそも中継の需要は潜在的に存在しています。BSではA級順位船最終戦の放映があることからも理解できます。24にタイトル戦の検討盤が作られたり(今はできないようですが)、2chで実況があったりしますしね。この24BBネットの仕組みを使って、全タイトル戦の中継報道が確立されるのであれば、利用者もお金を払ってもいいかなと思うんじゃないかな(インターフェイス、番組作りの改良をしてからの話ですが)。大体、主催新聞社が違っただけでネット中継に差が出るというのが変なんですよ。24BBネットが一手に引き受けてくれると、視聴環境も統一されるので観戦者にとっては都合がよいです。新聞社もWeb中継に余計なお金をかけないで済みますし。そういう方向に発展してくれないかなと期待しているんですが。プロ野球の中継だって、テレビもあればラジオもあるし、インターネットもある。同じように将棋中継も、各新聞社がやってもいいけれども他の媒体による中継があっても一向に差し支えない、逆に視聴者が増える分、新聞社、中継する人たち、ファンそれぞれが利益を得るわけで、いいことづくめじゃないですかねえ。パイは奪い合うのではなくて、大きくする、そういう視点があるかないかだと思うんですが。

 将棋倶楽部24の人気は、管理者である久米さんの真摯な対応が実を結んだためですし、そういう実績のある方が24BBネットを管理しているのですから、私の妄想が実現しないとも限りませんよ。っつーか、それがメインで作ったんじゃないかなあ。違いますか?


TOP将棋戯言前の戯言次の戯言
初版公開:2003年11月8日 最終更新:2003年11月15日
Copyright © double crown
double crown(E-mail:doublecrown.under@gmail.com)
http://doublecrown.under.jp/
http://doublecrown.under.jp/shogi/0144.html