A級順位戦座談会 その7


某居酒屋チェーン。

「さて、今期(第61期)のA級を総括をしてみましょうか」

「挑戦者は候補に対抗で挙げておいた羽生に決定したわけだが、なんつーか今ひとつな感じだ」

「どうして? しぶとく挑戦者決定戦にも残ったし、そこでも藤井、佐藤を撃破しての登場だよ。この勢いがあれば名人位復位も大いに考えられるのじゃないかな」

「はっきり調べたわけではないし、印象だけで喋っているのだけれどね、どうも対局過多なのか、このところ成績が安定していない感じなのだよ。七回戦の藤井には大逆転を許すし。丸山に三連敗して棋王位を取られたというのはどういうことなのかね」

「ああ、8五飛戦法で負けた奴ですか。あれはしょうがないですよ、研究すれば勝てる将棋ですから。丸山と羽生の忙しさを考えれば、研究時間の豊富な丸山が勝つに決まっているじゃないですか」

「だって今までだって時間がない中をなんとかやりくりして研究していただろうし、それでもって今の地位を築いてきたわけじゃない。それがもう通用しないようになってきているのかな、っていうのがあるわけよ」

「羽生もそろそろ勉強方法を変えるとか、どうでもいいような棋戦は参加しないとかしないといけないってこと?」

「うーん、強さをキープする方法はどれがベストがわからないけれど、それも一つの解だね」

「それにしても今期の丸山はどうなんですか。順位戦では降級争いをしているのに、棋王位は取るは棋聖戦では準決勝まで残るは。どうも力の入れ方が極端なような(笑)」

「序盤で順位戦の負けが込んで挑戦の目がないなと思ったんで他の棋戦に全力投球したのだろう。効率よく指したという意味では至極プロフェッショナルな戦い方といえるだろうねえ。降級したらどうするつもりだったんだろう(笑)」

「最終戦の相手が順位戦不調克つ、最終戦を必ず落とすことで有名な森下先生が相手だったので、負ける気はしなかったのかな」

「森下先生の成績は2勝だったけれど、その相手が驚異の活躍で周囲を唖然とさせている青野先生と、羽生っていうのだから不憫でならないよ」

「座骨神経痛だっけ、それで本調子がでなかったのではないか、っていわれているけれどそこらへんはどうなのだろう」

「年間を通して活躍できなかったところを見ると、病気が原因とは言い難いんじゃないかな。実力が確実に落ちているのだと思う。タイトル戦にもまったくからめなくなってきているし、残念ではあるが……」

「残念といえば、郷田でしょ。4勝上げているのに落ちるっていうのは酷いよなあ。最終戦に佐藤を破ってA級を盛り上げてくれた立て役者でもあるのにな」

「今期は本命不在の団子レースだったから、そのあおりをもろにかぶっちゃったんだね。程良く星がバラバラだもの、しょうがないやね。郷田に関しては、またすぐに戻ってくると思うよ。安定感ないけど、馬力は凄いからね」

「そうね。来期はライバル?の先崎八段と昇級争いをしてくれるでしょう。っていうか先崎が昇級戦線に絡んでこれるのか、っていうのはあるけれどさ(笑)」

「さて、それじゃあ名人戦の予想でもしますか」

「森内名人は羽生相手にここ二年間負けなし、と聞いていますが」

「ふーん、苦手意識はなくなっているわけか。だけど初タイトル初防衛っていうのは、なかなか難しいのではないかと思うがどうだろう。」

「森内も名人位を取ってからあまり奮わないので、研究時間もたっぷり取れているから割といい線行くんじゃないの」

「ま、前期のように4−0じゃなきゃいいや、って感じよ、儂は」

「僕としては羽生に永世名人位をさっさと取って貰いたいので4−1で羽生といいたいですが」

「ここで羽生が名人位を取れば、再び四冠で棋界の第一人者としての地位が回復するけれど、負けるとまた乱世になるのだろうな」

「面白い将棋がみれるのだったら、誰が第一人者でも関係ないですよ」

「おっしゃるとおり」


TOP将棋戯言前の戯言次の戯言
初版公開:2003年3月29日 最終更新:2003年4月5日
Copyright © double crown
double crown(E-mail:doublecrown.under@gmail.com)
http://doublecrown.under.jp/
http://doublecrown.under.jp/shogi/0112.html