今メジャーな戦型といえばプロアマ問わず、四間飛車と8五飛戦法だと思われる。特に四間飛車は長い間指し継がれるほどの人気戦法で、いい加減決定版対策が出てもよいのではないか、と思ってしまう。「これが最前線だ!」を読むと一部の急戦などは詰みまで研究されているとあるが大部分が未解決、つまりこれにて互角、と乱暴に結論づけられている。まあ血と涙の結晶をすべて公開なんてすれば商売上がったりなので、幾分結論をぼかしてるところも多いだろう。こんな事情もあるから、表だってわかっていることはホンの一部で、実際どこまで結論が出ているかは霧の中である。
現代は情報が大量に行き交う時代で、対策がどこかの対局で試されるとたちどころに広まり検証されてゆき、取捨選択が行われている訳で、流行りの戦型を指すのだったら情報を手に入れておかないとたちどころに作戦負けは濃厚。情報戦に勝てるかどうかで勝敗が決まるといっても過言ではないといった状況である。これはアマプロ問わずである。
すべての人が流行についていけるとは限らず、その人々はマイナーな戦型で戦う訳だがやっぱりそのケースでも情報がないよりあるほうがよい。自分の得意戦法を指し続ければ蓄積もされるだろうから、慣れていない相手よりは情報戦で勝つことはできる。だからといって過信は禁物である。見たこともない局面へと誘導される可能性のほうが圧倒的に多いし、今まで蓄えてきた情報が誤っている可能性も十分にあり得るわけだからね。半年ほど前に、相横歩取りで負けないようにある程度調べたことがあったんだけど、どんどん再評価が進んでいるみたいで、いつも作戦負けに陥っている(笑)。
詰みまで情報を握っていれば確実に勝ちをものに出来るかもしれないが、ぼんやり手順だけを覚えているだけでは気づかないうちに手順前後に陥っていたり、終盤捲られたりもするだろう。情報がもたらす手順の意味、変化を理解していないとしっぺ返しが当然降りかかってくる。情報に頼るだけでは実力とはいえない。最新情報をインプットした今の将棋ソフトでもプロ棋士にはまだ歯が立たないのはそういうことだと思う。
情報戦は今後も熾烈になって行くのはまあ、それはいいんだが、消えた戦法の謎のように年に一度ぐらいのペースで総括して欲しいっすねえ。