将棋の駒には八種類ありますけど、性能が異なりますね。移動に関していえば三種類です。一マスしか進めないタイプ(玉金銀歩)、長距離進めるタイプ(飛角香)、そして特殊移動タイプ(桂)。桂馬の追随を許さない一匹狼的なスタイルが、他の駒とは異なった起用をされる原因だったりします。
さて、玉の周りにはなーんにも駒がないケースを考えて見てください。ここで三タイプの駒で王手をかけるとします。すると受ける側の対策はいくつあるでしょうか。まとめるとこんな感じ。
一マス進むタイプ | 1)利きから逃げる |
2)玉でその駒を取る | |
長距離タイプ(直に打つ) | 1)利きから逃げる |
2)玉でその駒を取る | |
長距離タイプ(離して打つ) | 3)利きから逃げる |
4)合駒を打つ | |
特殊移動タイプ | 1)利きから逃げる |
はい、ここから何がわかるかとゆーと。桂の王手には対策が一つしかないので、攻めてる側からすれば読むのが楽ということ。だからたくさん駒を持って攻める場合、まず桂馬を打つことを考えたほうが変化をいろいろと考えずに済む。逆に長距離タイプの駒で王手をするとなると、最初から変化を四つも想定してから着手しなくてはならず、ましてや合駒を考えていたらいくら時間があっても足りない、という末路が待っている。桂馬があったらまず王手。これは詰め将棋にも応用できる金言であるといえよう<いいすぎ。
また、桂馬の王手の対応が「利きから逃げる」しかないということは、その桂馬の利いている地点にさらに駒を打ち込むことで玉を追うことができる、つまり拠点を作りやすいというのも見逃してはならない。終盤の大逆転を演出するにはピッタリの駒である。
さらにいうと、長距離タイプの駒を離して打ち込まれた場合の合駒も桂馬を打つことから考えるとよろしい。受ける場合、合駒を取られる変化も読むわけだけど、桂馬を渡すんだったら「危機利きから逃げること」だけを読めばいいから考える時間を有効に使える。
桂馬に関してつなぎ桂、角と連動した桂、両取りの桂、吊るし桂ぐらいしかいつもピックアップされないので、桂馬のほかの側面にも言及してみた。