ライバルの存在

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 今の将棋界でライバル関係が成立している組み合わせは存在しているだろうか。かろうじて羽生五冠と藤井竜王ぐらいかなあ。実績から見れば圧倒的に羽生五冠のほうが格が上だけど、ここ最近の対決結果はほとんど五分だし、内容も均衡している(らしい。僕の棋力じゃわからん)。四間飛車VS居飛車という戦形は、アマチュアの愛好家も多いため、アマプロを問わず注目を集めることができたと思われる。

 とはいえ、昔に比べればいくぶんシラけているのである。期待感が薄い。どうしてなのだろうか。ライバル同士の力量に大差が付きすぎてしまったからだろうか。いうまでもなく羽生五冠の力は棋界一であろう。匹敵する経歴を持つもの現役棋士は中原永世十段、谷川九段だろうか。だけど経歴だけでは勝つことはできない。同輩では佐藤九段、森内八段がいるけれど、羽生の前では霞んでしまう。あまりに実績が違いすぎる。デビュー当時、ライバルと目された阿部七段、森下八段もすっかり今の位置に落ち着いてしまった。と、いうわけで棋界には羽生五冠の実質的な敵はいないのある。この状態はあんましよくないよなあ、と思う。羽生五冠にとってもファンにもね。

 羽生五冠に燃えさせる相手がいなければ、どうしても現状維持=五冠堅持が目標になってしまい、将棋に対する情熱が失われてしまうのではないかなあ、という危惧を抱いてしまう。同じレベルで語ることのできないなんて寂しいのだろうなあ、と思う。今、羽生五冠はチェスの大会に出場して活躍しているそうだけど、もしかしてそっちの世界へいってしまうかもしれないよ。いや、マジな話。

 ライバルのいない羽生五冠はどうせ勝つんだろ、みたいな目でファンはみるだろうから、棋戦の結果だけ見て「やっぱりね」と思うだけになってしまいやしないか。羽生将棋は華があるのでかろうじて観戦意欲が湧くけれど、地味な将棋を指す人は是非とも盤外でアピールしていただきたいと思う。神吉六段のように本末転倒するぐらいがちょうどいいのかもしれない(笑)。

 注目を集める手段としてのライバル関係は、やはり必要だと思います。ライバル関係というか勢力抗争図とでもいうのでしょうか。うまく表現できれば興味を抱くファンも増えることでしょうね。


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初版公開:2001年04月21日 最終更新日:2001年04月28日
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