戦法に名前をつける


 棒銀や原始中飛車を卒業しある程度(二、三段程度)強くなってしまうとバックボーンとなる戦術は大きく二つに分かれる傾向にある。ひとつは定型と勝手に呼んでしまうが四間飛車対急戦とか矢倉だとかいわゆる昔からあるメインストリート、メジャーな戦法に傾いてゆくという道、もうひとつは独自の形(筋違い角とか力戦)へ歩んでいく道である。どちらの道を進むにしても昔の形と少しでも違えばそれは立派な新戦法として自慢することができるだろうし、その戦法に名前をつけることもできるだろう。

 新戦法として一般に認知されるにはもちろんその戦法での勝率がよくないと意味がない。それともう一つ、プロが実践で使用するという条件がある。これは権威付けですね。プロが使ったとなるとメディアに載るチャンスが多くなり認識のスピードが早くなるからだと思われる。現在(2000年)プロで流行しているのは「8五飛戦法(中座飛車)」と「藤井システム」だけれど、これもプロが使ったからあっという間に定着したんだよね。アマが使っていたとしても勝率が相当高くないとこんなに席巻できないと思われる。

 僕が印象に残っている新戦法といえばやはり「居飛穴」ですね。これは異常に勝率が高く(プロアマ問わず)強烈なインパクトが残っています。そういえば本家裁判はどうなったんでしたっけ? まあどうでもいいですが。最近では「ミレニアム」(……)という対振り飛車の形があるそうですね。しかし「ミレニアム」って、どういうセンスしてんだ週刊将棋は? 高橋九段の「トーチカ」のほうが形を模しているし合っていると思うのだけれどね。この戦形、もとはアマチュアの西田さんオリジナルなものでその名も「西田スペシャル」というんだそうです。(詳しくは西田記念館へ)しかしこの名前もちょっと……という気がします。「塚田スペシャル」(懐かしい)と同じノリじゃん。「森下システム」とか「藤井システム」と書くとなんだかかっこいい気がするけど〜スペシャルっていうのはちょっと恥ずかしい感じです。

 ここまで書いていてしかし、戦法の名前ってどうも自分ではつけることができないんじゃないかという気がしてきました。今まで出できた名前って結局指した本人が付けた名前じゃなくて周りがつけたんだよね。一番気のきいた名前、一番いい響きの名前が自然と付くようなそんな気がしてます。僕は「ちょんまげ美濃」が一番好きかな(笑)。


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初版公開:2000年11月18日 最終更新:2002年11月1日
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