新聞欄っぽく(第5譜)

三段▲ダブルクラウン(double crown)
四級△ひょい(hyoiworld)
秋の自戦記王決定戦2003初戦
2003年10月19日10:00〜


第5譜

58手目
△8八角成(第9図)

 飛行機も着陸が成功してのシロモノである。終わりよければすべてよし、というわけではないが、勝負事は最後の着地が失敗しては今まで勝利のために積み上げてきたものが無駄に終わってしまうことがあるのでございますな。いや、長いスパンで考えれば、逆転負け喰らっても、あははは、あのころはまだ若かったよなあ、と済ませてしまえるが当方、視界、思考ともに狭いため、すべての勝負に勝利しないと嫌なのである。で、本譜は終了図からの△8八角成▲同飛△7四銀という受け一方の展開になってしまうのが、ここに勝負手があったのである。それが△5三銀である。8筋が受かんないなら中央へ逃げようと手である。4三に先手の馬がいるので盲点になるかもしれないが、▲7五桂を打つ瞬間に気がついてしまっていた。げげ、そんな手があるのかと。その後の指し手はおそらく▲7八飛△5二金だが…。馬を引き上げるのも悔しいし、第一左辺に逃がしてしまうじゃないか。だったら飛車を逃げずに▲2五歩はどうか。△同飛、同金なら▲3七桂の活用が見込めるか。先に一本▲3五歩を入れて、それから▲2五歩か。飛車を取られても▲4五桂が実現すれば挟撃は完成するし。後手は飛車を引くのは論外なので、寄るか。ならト金を払って凌げるか――。とにかく左辺に逃がすと最悪入玉まであるので、というのも先手右辺は、焦土化する予定だったので、立ちふさがるような駒の数少ないんですよね。スラムに逃げ込まれたら逮捕は難しい、といったニュアンスとなりますか。いやーな変化でした。


60手目
▲同 飛 △7四銀打(第10図)

 車道に飛び出したときに耳に劈く、甲高いブレーキ音を聞くときのような漠然とした不安。あれ。俺なんかへんなことしちゃった?みたいな焦り。へんな汗がじわりと額に浮かぶ。気を取り直そうとコーヒーカップを口にするが、すでに空っぽだった。ひょいさんの持ち時間はすでになく一分の秒読み。長い長い一分の秒読み。その結果△8八角と指された時深いため息とともに安堵したのであった。これで勝ちになったのかなと。当然のように次の一手はあれであるが、動揺が続いているので、正しい寄せが見えていなかった。初段以下の方でもすぐに解る手だったのだが。さて、皆さんはお分かりですか?



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初版公開:2003年11月10日 最終更新2003年11月11日