三段▲ダブルクラウン(double crown)
四級△ひょい(hyoiworld)
秋の自戦記王決定戦2003初戦
2003年10月19日10:00〜
第2譜
△3三金 ▲7六歩 △4四歩 ▲5六歩 △3四金 ▲5七銀 △4二飛 ▲7七角 △6二玉 ▲8八玉 △7二玉 ▲9八香 △6二銀 ▲9九玉 △4五歩(第3図)
車の走る音がぼんやりと耳に聞こえてくる。ぽかーん。あまりの酷い手拍子に一瞬魂が抜けてしまった私である。が、まだ序盤、負けたわけではない。相手に悟られまいと予定していたかのように角筋を開けた。開けただけでそのあとの構想はまったくの空白であった。私がこのようにもだえ苦しんでいる間にひょいさんは得意の変則的力戦振り飛車の陣形を築きつつあった。3筋の位を取り、その背後に金将を配し、4筋に圧力をかけるために4筋に飛車を振る。ひょいさんは坂田流向かい飛車に組むことが多いので、その対策を考えていた。向かい飛車形の将棋の場合、飛車交換の仕掛けには気を使う必要があるが、金銀を繰り出して制圧にくるような形だと、いなしたり、足止めしたり、最終手段として焦土化するというように対策が豊富にあるのでなんとかなるだろう。そう結論づけると、一目散に囲うことにした。で角を上げ、熊る準備をしていると、角交換を挑んでくるではないか。手損になるが仕方あるまい。向こうから交換されると桂を跳ねる形になり、流石にこれでは戦えない。一手損ながら、熊るまでは辛抱辛抱といったところ。
▲2二角成 △同 銀 ▲8八銀 △3三銀 ▲7九金 △2四歩 ▲6五角打 △2二飛 ▲4三角成 △5四角打 ▲同 馬 △同 歩 ▲3一角打 △2三飛 ▲8六角成 △2五歩(第4図)
頑強な自陣が完成。これで決戦にこられても強く戦うことが可能だ。手数をかけ分の価値はあるというもの。後手は早囲いに組み、自玉の堅さの変わりに全体のバランスのよさで勝負してくる模様である。このままニ筋に回られ、飛車先逆襲が決まってしまうと、こちらからの争点がないので、これは一方的な負けである。流石にそれはまずい。というわけで、かねてから狙っていた中空の角を放つ。この角の意味は直接には2一の桂取りだ。後手は形よく2二飛と受けるだろう。そしてこのとき4三角成と馬を作ることに成功した。これが真の狙いである。敵陣内部にスパイを仕込んでおき、内部から破壊するのが目的なのである。獅子身中の虫作戦とでもいおうか。敵陣は金銀逆の悪形であるので、駒の連結が悪く、すぐに2五歩とは仕掛けられない。故に5四角とあわせて馬を消し去ろうとするが、当然、角交換後3一角と打ち込み、飛車が浮いて逃げるところを、▲8六角と引き成る。後手は馬が遠いところへ逃げ帰ったことに満足し、待望の飛車先逆襲、△2五歩と突く。後手の主張はどこまで通用するのか。