新聞欄っぽく(第1譜)

三段▲ダブルクラウン(double crown)
四級△ひょい(hyoiworld)
秋の自戦記王決定戦2003初戦
2003年10月19日10:00〜


第1譜

6手目
▲2六歩 △3四歩 ▲4八銀 △3二金
▲6八玉 △3五歩 (第1図)

 居間の片隅にある安っぽいパソコン机。その上に鎮座するiMac。乳白色の光沢を放つ半球形のてっぺんから鉄のアームがくの字に伸びて、14インチのディスプレイを頼りなく支えている。机とまったくアンバランスな黒革製の肘掛け椅子に腰をかけて電源を入る。OSが起動しようとしている間にサイフォンから愛用のコーヒーカップへとなみなみと注ぎ、パソコン机に準備する。時計は対局時刻10分前。i.eを立ち上げ大阪道場にログインする。休憩室には組長の姿が見える。今日は自戦記職人組合では恒例となった、職人同士の交流会とも言うべき自戦記王決定戦の日。秋の本大会は戦形を限定した団体戦を行うことにした。私は居飛車チームの先鋒として本局に臨んだのであった。振り飛車党というか中飛車職人として自戦記職人組合では活動している当方であるが、流石に振り飛車一辺倒では指していて新鮮味がない、という理由もあって、居飛車チームに入れていただいた。実際はどっちのチームでもよかったんですけれどね。うお! なんだこの手は?!


7手目
▲7八玉 (第2図)

 飛ばすかのように序盤を進める。実は対振り飛車作戦にあまり詳しくない人間なのである。定跡形ならばある程度知識はあるが、普段指さないものだから理解しているとは言いがたい。手順前後の可能性大である。そうすると勉強しているほうが有利になるわけだから、そういう展開は困るのである。だからとにかく後手のひょいさんがどんな振り飛車にきても関係なく、「新版 奇襲大全」の「居飛穴音無しの構え 急戦封じガチガチ流」作戦を決行しようと考えていた。特徴は角筋を空けずに、8六歩、8七銀と上がり、角は7九角と引き角で使い、そのまま一直線に篭るというもので、振り飛車側から穴熊阻止の手段である角交換の筋を最初からなくすことで確実に熊れる優秀な作戦である。おまけに本大会は居飛車振り飛車対抗戦のため、後手から飛車を振りなおす心配がない、というのも大きかったのである。しかし。しかしである。緊張と、早指しようにテンポよく指していたのがいけなかった。本来なら7八銀と上がらなくてはならないところで、手拍子に玉を寄ってしまったのだ! ガーン。音無しの構えに組めなくなってしまった…。バカバカバカおいらのバカ。ああ。


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初版公開:2003年11月6日 最終更新2003年11月7日