プロ棋士の価値は「強さ」なのか


 現役A級八段もアマに負ける時代なのだから、プロ棋士の価値を「将棋の強さ」だとは言うことはもう出来ない。強さばかりを追求することが普及につながると考えていた時代は完全に終焉しています。

 将棋界自体、昔に比べればレベルは上がったと思いますが、ファンのレベルアップを怠ってきたために段々離れていたったと思うんですよね。地道な普及活動をしてこなかったツケが現在の悲惨な状況を生んでいる訳です。

 だいたい、将棋連盟の目的というのは、

「将棋道の普及・発展を図り。併せて国際親善の一翼を担い、人類文化の向上に寄与すること」

 日本将棋連盟:目的・運営

 だったはず。勝ち負けも大切なのでしょうが、その前にファンあってのものだということをきれいさっぱり忘れているのですよ。

 僕は勝ちまくる棋士ではなく、普及活動を行っている棋士にもプロ棋士の価値を見いだしたいのです。普及活動にも色々あると思います。勝ちまくる、魅せる将棋を指す、本を書く、道場を開く、等々。

 普及活動はお金にならない、とかいいますけれど、アホかと。今投資して未来を開拓するのにそんな御託があるでしょうか。また本当にお金にならないのか。議論できることはたくさんあると思うんですよ。参考にできる業界も多数あるでしょう。

 初心者への普及も重要ですが中級者への普及も課題だと思います。米長永世棋聖はそれを案じて将棋中級入門を出しましたが、評判を聞かないのでいまいちなのでしょう。私は柿沼氏の将棋に強くなる本―好敵手には読ませたくないを強く推薦しますが、これ一冊ではなく、類似の本は多く流通するべきだし、より積極的に将棋が指せるような環境づくりは大切です。

 そういう活動を率先する人こそ、プロ棋士と呼んでよいと思うのです。奨励会を卒業すればいいってものじゃないのではないか。普及力があるのなら棋力が低くてもよいのではないか。あるいは指す専門、普及専門にプロを分けるとかまあ、いろいろ考えられます。

 価値のあるプロ棋士って現在何人いるんだろうな…。


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初版公開:2004年10月16日 最終更新:2004年10月30日
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