「座談会っていうけどさ、二人しかいないんだけどいいのかね」
「しょうがないじゃん、将棋分かる奴が俺とおまえしかいないんだから」
「そうだけどさ、俺達じゃかたよっちゃうぜたぶん」
「何がよ」
「名人戦挑戦者予想だよ」
「うーんお互い谷川ファンだからなあ」
「現時点(※1)では単独首位だし今期は絶好調だから決まりだと思うんだよね」
「俺も決まりだとは思うんだけど」
「なんだよ、歯切れ悪いな」
「最終戦がね、佐藤九段なんだよ」
「それがどうした」
「順位戦で羽生を倒してるじゃん」
「後手番陽動振り飛車で勝ったやつだ」
「勢いがついたんじゃないかってね」
「谷川だって今期は異常な勝率だぜ。対羽生戦を除けば」
「そうなんだよ、羽生だけなんだよな、天敵は」
「藤井竜王にも歯が立っていないような気が……」
「昔のことは忘れようじゃないか。 A 級には藤井もいないし。まあ飲めよ」
「羽生はどうよ」
「三勝二敗だよね。もうひとり三勝二敗がいるじゃん」
「森内か」
「八戦目にね、直接対決があるんだよ」
「ここで潰しあう、と」
「順位戦は森内も強いからなあ」
「羽生にとっては正念場だね、七冠を狙うには」
「返す返すも佐藤戦の負けが痛いね」
「谷川にとってはよかったんじゃない(笑)」
「本命谷川、対抗佐藤、穴森内でどうよ」
「羽生はどうしたの」
「たまには休ませてあげないとね(笑)」
「 A 級順位戦のもう一つのお楽しみ、降級争いはどうかな」
「これがまた熾烈(笑)」
「二勝三敗、二勝四敗が六人もいるよ!」
「三勝二敗の羽生、森内も射程距離なんだ(笑)」
「こりゃおもしろいね」
「こうなってくると順位って大きいねえ」
「先崎新八段には期待していたんだけどな」
「佐藤を倒したときは、おお、って思ったもんねぇ」
「しかしまだまだこれからだから。見守りましょう(笑)」
「やべ、みんな来たぞ、資料隠せ!」
「お、はやいな。ん、今何隠した?」
「あ、いやあこれはね、えーっと……」
なかなか「将棋が趣味で」とカミングアウトできない将棋ファンなのであった。
※1 2000年12月9日現在