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将棋のこと雑感

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 辛かった出張も終わり近くになり、精神的に少しずつ解放されつつあるので、その勢いで最近感じている将棋についての話をつらつらと。

名人戦について

 我らの谷川九段が4勝2敗で森内名人にねじ伏せられたのは至極残念だった。後手番での作戦で苦労していたようですね。ポイントはなんといっても先手だった1局目を落としたことに尽きるかな。あと、6局目ですが、挑戦者が途中からやる気を失ってしまっていたのがなあ。序盤から手厚く指されそのまま押し切られた形で、投了図もかなり寂しいものだった。もちっとなりふりかまわないような姿を見せてくれてもよかったような気がするよ、谷川先生。

 森内名人はしかし、体調が悪かろうがなんだろうが、結果を残したのだし、将棋の内容も彼のスタイルが貫かれていてある意味格好良い。来期は永世名人位を巡って羽生三冠と争って貰いたいものだが、いきなり初戦で郷田に負けてるし。ああもう。

名人戦主催紙問題について

 激しく興味なし。ただ日本将棋連盟の毎日に対する失礼千万な態度、また毎日のしつこく謝罪を要求する態度、朝日の「私が仕掛けたわけじゃありません」的な無責任な態度とか、それぞれのプレーヤーの間の抜け具合が痛々しくて直視できないわけで。いつ結論がでるんだっけ? ま、ごく普通に毎日と朝日に詫び入れて毎日に継続して貰うのが一番マシなんじゃないんですかね。移ると遺恨が残るだろうよ。

 遺恨といえば、昔「牛丼の恨み」っつー話しがあったよな。朝日が名人戦主催の頃、奨励会員が前夜祭に参加させてもらえず、別室で牛丼をあてがわれて悔しかったと。それで朝日に恨みに持っている奴がいると。その話を読んでね、ホントね、奨励会員を醜いと思ったことはなかったね。半人前なのにこの思い上がりっぷりはどうよ? 棋士と同列に扱われて当然だと言わんばかりのその心構え。ねじれたエリート意識っていうのかね。どうなのよ。ったく、どうしようもないね。

 でだ。朝日も物好きだよな。まだ歴史のある将棋タイトル戦が欲しいのだろうか? ぜってーメリットがないと思うけれどな。販促価値計算できているのかしらね。ブランドが好きなんだな。

羽生世代について

 羽生、佐藤、森内の強さはまだ安泰っぽい。彼らより年上は話しにならない(谷川先生はギリギリだ)し、直ぐ下の世代(深浦、鈴木、20後半〜30代前半)は全然届いていない。棋聖戦の鈴木八段の無惨な結果は象徴的だ。作戦では勝てているにもかかわらず中終盤でひっくり返されるなんて、棋力が離れている証拠だ。

 森内から竜王位を獲った渡辺は21歳。でも彼レベルの若い棋士は事実上いない。山崎、阿久津は実力もあり期待もしたいけれど、島研のような濃密な将棋どっぷりの時間を過ごす時間が圧倒的に足りていないし、それを自覚してはいるものの、雑誌で「変わらなきゃな」なんてわざわざいうってことは、現状できていないし、今後どうすればその実力の溝を績めることができるかどうかの方向性も見えていないようだ。2人とも家に帰らない遊び人生活者だしさ。

 王者20年周期誕生説を採ると、羽生現在35歳だから、プロだと怪物の呼び声高い糸谷四段などが候補になるだろうか。ようわからんけど。

 しかし彼の将棋は面白いね。将棋倶楽部24でよく見ていたけど、かなり古風かつ力戦的で、ほっそーい攻めをガシガシ繋げていくテクは相当なものだ。羽生世代との大局観とはまた違ったものを持っているのだろう。活躍が楽しみだ。がたいの良さもな。宮田五段のように体力がないと才能が活かせないもの。

将棋世界について

 2006年8月号を読んだ。今号は買っても損しないと思う。連盟では成果が露骨に出る分野だけにてこ入れが進んでいるような印象です。巻頭の羽生インタビューは、今回だけの特別編だとしても羽生の将棋観が伺えていいね。谷川、渡辺といったプロが彼に質問してたりして、不思議だったけど。

 追加された、「イメージと読みと将棋観」というトッププロ6名の形成判断を比較する企画は、すでに先行して発表されている「読みの技法」のそのままパクリだけど面白い。ただ、いつまで持つかっていうのがねえ。1年で指定局面は尽きてしまうだろうしさ。

 佐藤VS鈴木の棋聖戦ダブル自戦記も上記の企画と同じようなものですな。戦法を予告した鈴木のパフォーマンスもあって注目を集めたんじゃなかろうか。ただ3連敗しちゃったのがなあ。この企画も棋士がある程度キャラが経っていないと面白くないかもな。それを引き出すため書き手にも修行してもらうとしても、来月も同じような企画は二番煎じで、新鮮味がないから連載って形は難しいだろう。

 巻末に追加された、名局セレクションはよいなと。高橋九段が連載していた短評よりも詳しい。だけどそれでももっと解説を増やして欲しいし、将棋戦法史においてどのような影響を与えたのか、といった全体的な話も読みたいなと。

 それにしても教授の連載はサイコーですな。ここ近年の連載の中でもトップなんじゃないのかしら。戦法をめぐるプロの駆け引きを丁寧に解説していて、これが読めるだけでも750円を払おうという気になるもの。逆にいうとなくなったら立ち読みになっちゃうかな。

 あとは、河口の後釜に誰が座るか、という話だが、どうやら先崎が書くようだ。とうとう選手としての棋士を卒業?する気になったのかね。羽生世代とは死ぬほど離された実力と実績だし、あとは文筆のほうで棋界に貢献して下さいませね。

 で。

 まあ、私としては教授の連載が続く限り購入を続けるかな。先崎の連載は、次号のを読んでから判断するつもり。最近は文春の連載が酷くつまらないからなあ。期待はできないけれど。

プロ試験について

 とりあえず条件が揃えばプロ/奨励会入会試験は行うようになったようですが、受ける際に相当の額を要求する、なんてことを連盟がのたまっているようなんですが、馬鹿か。

 わざわざ、未来のない将棋連盟入会試験を受ける、なんていう話題を作ってくれるアマチュアから試験料を毟り取るなんて立場がわかっていないようですね。ハードルが高いのはまあ、いいとしても、条件が揃ったら盛大に盛り上げてやらんかい!

 もうほんと、ばかばっか。

 あ。今日、JT将棋日本シリーズから封筒が届いた。中には九州大会の案内とチラシが二部。友人、知り合いをお誘い合わせしてくれとのことだった。うわ、なんか嬉しい。いくよ。いくさ。宣伝もするさ。千葉涼子に会いに行くさ!(あれ?)

JT将棋日本シリーズ 福岡大会 日時:9月17日(日)12:30開場 13:00開演
会場:福岡サンパレス ホール
入場無料・公開ライブ
【第一部】こども大会<決勝ステージ>
【第二部】プロ公式戦 二回戦第四局 森内俊之名人竜王・棋王 VS 谷川九段または三浦八段
解説/森けいじ九段 聞き手/千葉涼子女流王将 読み上げ/鈴木還那女流初段

 前回電気ホールだったのに今回はいきなりグレードアップしてサンパレスか。ほほう。


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初版公開:2006年7月10日 最終更新:2007年8月2日
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