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理想の将棋ファン

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 週刊将棋の「編集長から」というコラム?は時折間の抜けたことを書くので油断ならない。

 さて、今回(2005年8月17日 No.1109)は理想的な将棋ファンということで将棋が好きな編集長の父について書いてあるんだが読んでいてやはり?に感じたわけで。例によってヘンなところを引用。

 父は私と将棋の話の話題をかわすのが好きだったが、好きな棋士はいても嫌いな棋士はいなかった。羽生が勝てば「強い」とうなり、森内が勝てば「すごい」と驚いた。また父の口から将棋や将棋界に対する批判を聞いたことがない。トップ棋士から初心者まで、将棋を指す者には均等に愛情を注いでいた。私は親を失ったことと同じくらい、理想の将棋ファンを失ったことが悲しい。

 棋士の好き嫌いについては個人差もあるのでよろしい。羽生や森内の強さに敬意を払うのは素敵なことだ。ただし、棋界への批判を聞いたことがないことを美点に挙げるのはおかしなことである。批判をしないことが果たして理想的な将棋ファンの資質といえるのか。

 例えば、自分の愛する者が悪いことをすれば叱ったり意見したりするのは当然なはずである。愛する者が悪くなっていくのを見過ごすことは到底できない。棋界を愛するファンであるなら、おかしな制度や風習、事件があればあれこれ意見をいうのは当然である。愛する者に嫌われたくない?からといって看過してよいわけがない。

 思えば、心あるファンの諫言を聞くことなく運営してきたことが、現在の将棋界の凋落の根本原因ではないのか。耳の痛いことをいうファンを蔑ろにしてきた報いを今、将棋界や将棋界に寄生する業界が受けていると思わないのだろうか。

 であるので、貴方の父は将棋ファンというより将棋奴隷だったといえます。どんな振る舞いをしても反抗してこない、奴隷です。

 つーかさあ、根本的に違うんだって。そもそもファンに「理想的」なんて付けるからヘンなことになるんだよ。将棋界側からファンに「理想」を求めるのはおかしいだろ? なんでファンが全肯定で将棋界を支えないといけないのか。将棋界が魅力的だったらファンも支えようとするし、つまらなかったら見捨てる。そんなのは当たり前だ! 黙って金を落としてくれるのが理想の将棋ファンだと宣言したのも同然ですよ、編集長。分かってるんですか?

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 別件ですが。

 「怪老のつぶやき」の酷さに購入をやめようと思っている将棋世界ですが(盤上のトリビアを復活させなさい)、2005年9月号の第18期竜王戦決勝トーナメントでの出場者コメントの中で気になるやつがあって。

 それは島八段の以下のものなんだが。

3組2位入賞は予定通りです。普及活動に協力しない人には勝ってほしくありません。本戦での目標は三番勝負で森内名人と当たることです。

 なんでしょう、この紙面を使ったちくりは。普及活動に協力しない人がいるのは広く知られることですが(だったらこんなに将棋世界の売上げも落ち込まない)、みっともないっつーの。内部のごたごたは内部で片づけれ。


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初版公開:2005年8月21日 最終更新:2005年8月28日
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