早指しのメリット


 私事ですが先月末に三段に復帰しまして。最高R(1954)も更新できました。R2000を目指して日々早指し対局に明け暮れているところです。

 将棋倶楽部24で対局しているとどうも有段者は早指し(持ち時間1分、使い切ると30秒)でしか相手にしてくれないことが多い。しかたないのでこちらも早指しで挑戦するわけなんですが指し始め当初は酷いものでしたね。とにかく手がまとまらないので、指し手がちぐはぐになるのが辛い。構想をまとめている時間がまったくもって持てないんですね。ですからよくある奇襲戦法なんか喰らってしまうと、対処方法を思い出している間に潰されてしまったり、受け間違うことが続いていました。読み筋以外の攻めでこられるともうどうしようもなかったりとかね。

 ところが不思議なもので早指しを続いていくと、だんだん手の見える速度が上がってきたんですよね。正確には尺度が伸びたというか。頭に閃く手が以前より深く見えるのですね。ですからひと目よさそうに見えるけれど、その後を考えるとダメだろうといった手が第一感から自動的に外される感じです。つまり第一感の精度が高くなっている。

 原因をあれこれ考えてみると、早指しに慣れた、といういうことも大きいでしょうし、私はよく将棋倶楽部24の高段者の将棋を観戦しているわけですが、そのとき対局者の気分で指し手を無意識ながら考えている、その成果が出ているのかもしれません。ですが一番の原因は30秒将棋によって集中力が相当鍛えられたんではないかということです。持ち時間がない分、深く読もうと思ったら必死になって考えるしかないわけですけれど、それが成果として出てきたのではないかと。終盤なんて特に集中力を維持しないと吹き飛ばされてしまうわけですから、それこそ全身全霊で考えるわけです。集中力をコントロールする鍛錬が無意識ながらできていると。

 集中力というのはどの分野でも必要な基礎スキルだと思いますが、これほど効率的に身に付ける方法もないのではないですかね。将棋に教育効果があるとすれば、この一点のみにある。しかしこの一点は侮れないものではないか。必死に考える経験というのは、積めば積むほどその人にとってプラスになると思う。

 もっともその経験は将棋で積まなくても一向に構わないわけだけれど。


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初版公開:2004年2月7日 最終更新:2004年2月14日
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