棋譜の共有化とナップスター

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 少しパソコンに興味を持ったことのある方なら「ナップスター」という言葉を聞いたことがあるかと思う。今アメリカの音楽業界に和解金として10億ドル支払うよん、っていっているあの会社のことである。日本円で1000億円ってんだからたまげます。で、この「ナップスター」社。なんでこんなことになっているかというとですね、少し説明しましょう。

 ネットワーク環境も整備され、配線も太くなり、大量のデータをストレスなく転送できる社会であるアメリカの話。えーっとMP3という言葉はご存じ? ファイルのフォーマットのことなんですけどね。通常音楽データってのはCD一枚分おおよそ640(メガバイト)あったわけね。これがMP3というファイル形式で保存するとなんと約10分の1になっちゃう。するってえと、一曲あたりだいたい5Mぐらい。でこれぐらいの大きさだったらすんなりネットに乗っけて配信できるようなりました。するとどうでしょう、個人で持っている音楽CDを全部MP3ファイル形式で保存して、個人個人で交換しはじめたんだね。昔友人にCD借りたことあるでしょう? んで、カセットテープ(いや、懐かしいね)に録音して楽しんだものです。感覚は同じだよね。購入し、それを一対一で貸すという感じ。ナップスター社は何をしたかというと、個人で持っている曲のデータを個人から集めて、サーバで一括管理を行い、ほしい曲を検索できるような仕組みをつくったわけ。誰それさんちには「ビートルズ」があるぞ、とか。ありかを教えてくれるんだね。で、交換は一対一なわけですよ。これは個人で楽しむ範疇だから、著作権には引っかからない(はず?)。さて、さて、これだと、どんどんコピーしまくれるからCD買わなくてもほしい楽曲を手にすることができる寸法。んなことされたらCDの売り上げが落ちそうなんで、そんなサービスやめんかい、と音楽業界から訴えられおりまして、冒頭の話になっているんですよ。うーん、前置きが長い。

 えーっとまあこんな風に著作権の網の目をくぐり、個人的趣味範囲でファイルを共有化する手段があります、だからこれ、棋譜にもうまくつかえないかなあ、って思うんですよ(とりあえず棋譜には著作権がある、とした場合だけど、著作権があろうがなかろうが棋譜の共有化はかなり効率的だと思う)。個人的に入力した棋譜ファイルを自分とこのPCに入れておく、と。んで、ナップスターみたいな専用クライアントを起動する。検索窓を開き、人物名「羽生」って打ちリターンキーを叩く。するとずらっと並ぶ羽生五冠の棋譜。ダブルクリックで棋譜再生ソフトに連動しているような。個人の棋譜でもいいですが将棋連盟の棋譜サーバにもつながっていると最高。とにかく世界のみんなに協力してもらって自分のPCに棋譜ファイルを入れておけばあっというまに棋譜資料館が完成するじゃないですか。サーバソフトも少し賢くしてやれば「中飛車」とか言葉だけで棋譜を読みとって抽出してくれそうです。こうしておけば、もう少しは将棋戦法の研究も進むんじゃないでしょうか。棋譜から終盤のところだけ抽出して寄せのテクニックだけ取り出すとか、おもしろいと思いますよ。どうですか、研究者のみなさん?


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初版公開:2001年03月17日 最終更新2001年03月30日
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