得意戦法を持つ


 将棋で強くなろうとする場合自分の得意戦法を持つ方がよい、と思われる。というのも自分が詳しい戦法で戦うということは実際の指し手に自信が生まれるからである。当然である。ある程度相手の指してもわかっているから指し手を限定して読めばいいので疲れも少ない。相手は「あんなにどうどうと指しているのだから自信があるのだろうな」と怖じ気づく。将棋は技術二気合い八のゲームであるから(言い過ぎ)この段階で九割勝つことができるのである(言い過ぎだってば)。私もそうやって強く(?)なったのである。初心者の場合は特にそうだ。

 初心者の場合はどんな戦法から始めればよいだろう。僕たちの時代(昭和四十八年生まれ)はやはり棒銀、原始中飛車あたり。入門書もだいたいそんなものだった。ある程度間合いや捌きを修得すると振り飛車と居飛車に分かれてくる。振り飛車は四間飛車、居飛車は急戦がその頃の流行だった。もっともすぐに手将棋になるのはしかたのないところである。僕は両刀使いだったけれど最初大山十五世名人の影響を受けて振り飛車党へ入党。四間飛車ばっかり指していた。あるときテレビ将棋を見ていたら森安九段が三間飛車に振っていて快勝したのを見て三間飛車へ鞍替え。当時森安九段は対四間飛車対策に悩んでいた頃だと思う。しかし居飛穴が登場して突如居飛穴党に(笑)。節操がないのは今日まで続いている。とまあ僕は飽きたら戦法を替えていった。これがよかったかどうかは僕が将棋倶楽部24で初段で伸び悩んでいることから察して下さい(悩)。

 得意戦法が常に使えるかというとちょっと難しいところがある。例えば振り飛車などは角筋を止めるところから始まるけれど、相手が飛車先を突かないことには始まらないからである。だからいろんな戦法を得意にしておくか、あるいは先手後手で得意戦法を使い分けるといったことをしておけば勝率は必ずあがる。短期な目で見ればそれは当然だろう。しかし長期の目で見るとどうなのだろうか。

 大山十五世名人は後年振り飛車ばかり指していたが、もともと矢倉相懸かりなども指していたし、升田実力制名人にしても同様である。中原永世十段もそうだし羽生五冠なんてなんでも指しほとんど勝つのである。トップはなんでも指せるようだ。つまり将棋を極めれば戦法なんて関係ない、ってことなのかも知れない。


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初版公開:2000年11月04日 最終更新:2002年10月31日
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